購入インターバル分析とは?

購入インターバル分析により、ある商品のリピート購入促進策の最適実施タイミングを把握することができます。

ID-POSを商談で活用

消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け

・購入インターバル分析とは?
データ作成方法
・なぜ、購入インターバル分析をする必要があるのか?
・商談でどう活用すればよいか?

購入インターバル分析とは?

購入インターバル分析とは? 折れ線グラフ①

購入インターバルとは、ある商品を購入してから次回購入までの日数を分析することです。例えば、A化粧水購入客は何日後にリピート購入率が高まる?といった感じです。ID-POS関連書籍や他のサイトではあまり出てこない分析手法ですが、私の経験上かなり役立つので詳細をご確認ください。
データは1人あたりの年間購入数量から算出するのではなく、複数回購入客の直近購入日と前回購入日の日数間隔を顧客ごとに計算する必要があります。小売業から提供いただいているASP(インターネット上のアプリケーション)によってはデータ抽出ができない可能性がありますが、抽出さえできればExcelで比較的簡単に算出可能です。

データ作成方法

まずは、得意先小売業から提供されているASPで顧客IDごとのデータ抽出が可能か否かを確認する必要があります。抽出可能であれば、分析対象商品を直近1年間に購入したお客様のIDと購入日を抽出します。抽出したデータのうち今回の分析では2回購入顧客のデータのみを使用します。2回購入客のデータを下記のような形で顧客IDごとの購入日と日数間隔(ExcelのDAYSという関数で計算可能です)を算出し、さらに10日ごとの購入率に置き換えたものをExcelで折れ線グラフ化すれば上記のようなグラフが完成します。グラフの横軸は日数、縦軸は購入率(リピート購入率)です。

購入インターバル分析とは? テーブル表

なぜ、購入インターバル分析をする必要があるのか?

購入インターバル分析とは? 折れ線グラフ②

購入インターバル分析を行うとリピート購入促進策を行う最適タイミングを見極めることができます。
上記の折れ線グラフは、A商品を1年間に2回購入したお客様の1回購入目購入日から2回目購入日までの経過日数(=購入インターバル)をグラフ化したものです(縦軸はリピート購入率)。グラフを見ると1回目の購入日から51日~70日後あたりに2回目の購入をしているお客様が多いことがよく分かります。つまり、A商品を1度購入したお客様へのリピート購入促進策は購入後50日~70日頃に行うべきであるということです。

ちなみに、上記データの最頻値は61~70日、中央値は91~100日、平均値は110日となります。
最頻値とは最も頻度が高い値のことで、リピート購入率が最も高い期間(=グラフの山が最も高い期間)のことです。中央値とは中央の順位の値のことで、仮に購入客が100人いた場合は購入インターバルが短い順に並べた50番目のお客様のリピート購入期間のことです。平均値については言うまでもないので割愛しますが、3つの値のうち当該分析で重視すべきは最頻値です。お客様がリピート購入する確率が最も高い期間に施策を行うことで投資対効果が高まる訳ですから、最頻値をもとに施策実施期間を設定するべきです。
中央値をもとに90日後にリピート購入促進策を行ったとしても「中央値=50番目の普通のお客様」ですので優良顧客予備軍をつかまえられるとは限りませんし、平均値をもとに施策を行うことも同様に得策ではありません。また、そもそもの分析を売上明細(因数分解)データから「365日÷1人あたりの年間購入数量」で購入インターバルを算出することは論外です(年に1個しか購入していないお客様が含まれるので)。

当該分析で2回購入客のデータのみを使用する理由は、単に集計が煩雑にならないからという理由なのですが、どんな商品でも「2回目の購入が重要である」ということを知っておいてください。新規客で1回目の購入をしたお客様が2回目の購入に繋がる確率(いわゆるリピート率)は低く、逆に2回目の購入をしたお客様が3回目以降も購入する確率や、3回目の購入をしたお客様が4回以降も購入する確率は比較的高いというデータがあります。つまり新規客に「2回目の壁」を超えてもらうことが優良顧客化に繋がります。

商談でどう活用すればよいか?

上記のようなデータが抽出できると「リピート購入しているお客様は51日~70日あたりに再購入することが多い」ので「新規購入していただいたお客様には50日後頃にリピート購入を促す販促(メール、DM、レシートクーポンなど)を行いましょう」と提案することができます。
何故ID-POS(idpos)分析が必要か?でも触れましたが、小売業は人口減・高齢化による小商圏化と、情報接点・購買接点多様化による固定客獲得競争激化という2つの難題に巻き込まれていますので、優良顧客に繋がるような取り組みを重要視しています。また、メーカーの営業担当者にとっても最適タイミングでのリピート促進策を講じることで投資対効果が高まる可能性が高いです。
競合品と比較して自社商品の方が購入インターバルが短いようであれば、イコール「競合品よりもリピート購入に繋がりやすい商品」と言えますので商談でのアピールにもなります。

また、分析結果を確認する際には、当該商品の「本来期待される購入インターバル」と比較してみるのも良いでしょう。「本来期待される…」とは、使用量や使用頻度を遵守した場合に無くなる(買い替えが必要になる)であろう日数のことです。「本来期待される…」と「実際の購入インターバル」がイコールになることはまずあり得ず、「実際の購入インターバル」の方が日数間隔が長くなるのが普通ですが、少しでもGAPが縮まるように啓蒙することも優良顧客化には必要ではないでしょうか(使用量・使用頻度を遵守する→商品の効果が表れる→継続使用に繋がる→優良顧客化)。