ABC分析にID-POSを活用

棚割などでよく使われるABC分析に、ID-POSを加えて分析することで優良顧客化に繋がる売場提案に繋がります。

ID-POSを商談で活用

消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け

・ABC分析とは?
・ABC分析にID-POSを加えた分析とは?
・商談でどう活用すればよいか?

ABC分析とは?

ABC分析にID-POSを活用 の説明

ABC分析とは、商品ごとの売上金額/売上数量/粗利額などから売れ筋商品を把握&ランク付けし、棚割や注力商品の選定などに役立てる分析手法です。通常はID-POSではなくPOSを活用して行うことが多いのですが、最近ではID-POSを用いて前述の指標にリピート率を加えて「短期的に売れる/儲かる だけでなく、リピーター(長期愛用)に繋がるか」という視点で分析することも多いようです。

棚割で使用する場合、カテゴリ内の商品を売上金額順に並べ、売上累計構成比が上位80%迄の商品をAランク、80%~95%の商品をBランク、95%~100%までの商品をCランク といったグループに分けします。同様に、売上数量も売上累計構成比上位80%迄の商品をAランク、80%~95%の商品をBランク、95%~100%までの商品をCランクとグループに分けします。この2つのABC分析を合わせると(クロスABC分析という)、売上金額Aランク×売上数量Aランクの「AAランク商品」から、売上金額Cランク×売上数量Cランクの「CCランク商品」まで6つのグループが出来上がります。
(小売業では上記のように、売上金額と売上数量のクロスABC分析だけでなく、売上数量と粗利額でクロスABC分析を行うこともあります)

POSデータをもとに棚割を行う場合は、CCランク商品のなかからカット商品を選定するのですが、ID-POSを活用した分析の場合はCCランク商品のなかでリピート率が高い商品があれば棚からカットせず継続採用することもあります(その商品が無くなることで離反客とならないよう)

※Aランク:0~80%、Bランク:80~95%、Cランク:95~100%という「しきい値」は、必ずしもこの値でなければならないという訳ではありません。ドラッグストアなどで行う棚割では、売上下位5%の商品をカットして新商品に入れ替えることが一般的と言われているためCランクを95~100%としています。

ABC分析にID-POSを加えた分析とは?

ABC分析を行う目的は、売れ筋商品を把握して「戦略的に取り組む商品」を決定することと、棚からカットし新商品と入れ替える「売上下位商品」を選定することにあります。この2つの目的を果たすだけであれば、POSデータをもとに分析するだけで事足りるのですが、ID-POSを活用してリピート率やカテゴリ貢献金額・ストア貢献金額とともに分析することで、商品そのものの売上影響だけでなくカテゴリやストア全体への影響を踏まえた意思決定に繋がります。

特にカット商品を選定する際は、売上下位5%の商品のなかからカット商品を選定して新商品と入れ替えるのですが(という考え方が一般的ですが)、もし仮にカット商品のなかに「優良顧客が購入している商品」が含まれている場合、その商品が棚落ちすることで優良顧客がストアから離反してしまう危惧があります。ID-POSを活用することで優良顧客の離反を避けることができますし、メーカーの営業担当者視点では自社商品のカット回避に繋がるかもしれません。

商談でどう活用すればよいか?

ABC分析にID-POSを活用 リピート率/カテゴリ貢献金額を加えたグラフ表現

本ページの冒頭で、ABC分析にID-POSのリピート率を加えた分析について触れましたが、この分析手法はABCL分析(LはLoyalty=忠誠)と呼ばれています(ABCL分析はTrue Data社の登録商標)。ABC分析にID-POSの指標を加えて分析をするのであれば、リピート率以外にもカテゴリ貢献金額やストア貢献金額の活用も可能です。カテゴリ貢献金額は「対象商品購入客はカテゴリ全体で何円購入しているか?」という指標で、ストア貢献金額は「対象商品購入客はストア全体で何円購入しているか?」という指標ですので、いずれも優良顧客が購入している商品か否かを測ることができる指標です。

棚割でカットされそうな商品を抱えているメーカーの営業担当者は、リピート率・カテゴリ貢献金額・ストア貢献金額を調べてカットを回避する(延命する)提案をしてみては如何でしょうか。延命期間中の売上挽回策や代替となる新商品が必要であることは言うまでもありませんが…
商談でデータを示す場合は、数表テーブル表でも良いでしょうし、上記のような棒グラフと折れ線グラフで表現しても良いでしょう。