あまり知られていませんがすごく重要な「ストア貢献度」を説明します。

ID-POSを商談で活用
消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け
・ストア貢献度とは?
・なぜ、ストア貢献度を分析する必要があるのか?
・分析をする際のコツや留意点
・商談でどう活用すればよいか?
ストア貢献度とは?
ストア貢献度は、あるブランド(ないし商品)購入客がストア全体で何円購入しているか?という、ストアの優良顧客度を表す指標で、LTV(ライフタイムバリュー)にも関係する指標です。ID-POS関連書籍やWEBサイトではあまり触れられていない指標ですが、私はすごく重要視しています。
ストア全体で何円購入しているか…なんてブランド(ないし商品)の力とは関係ないのでは?偶然では?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
・顧客満足度の高い商品は継続購入に繋がる
・化粧品などでは効果実感をするとより美容意識が高まり関連購買に繋がる
・お金をいっぱい使ってくれるお客様に「このお店は私がほしい商品を売っている」 と思ってもらえることでストアを頻繁に利用してもらえる
以上のことから、当該ブランド(ないし商品)以外にもストアでたくさん購入してもらえるブランド(ないし商品)は存在します。
小売業は、優良顧客が購入しているブランド(ないし商品)が分かれば、そのブランド(ないし商品)を積極的に売りたいと思います。メーカーの営業担当者にとっても、競合ブランドよりも自社のAブランド購入客の方がストア貢献度が高いことが分かれば、是非商談でアピールしたい指標であるはずです。そういった点で重要視するべき指標と言えるのではないでしょうか。
また、ストア貢献度と同様にカテゴリ貢献度という指標も存在します。
こちらは、あるブランド(ないし商品)購入客が同カテゴリ全体で何円購入しているか?という指標です。
ストア貢献度もカテゴリ貢献度もブランド(ないし商品)購入客の優良顧客度を示す指標であると理解ください。
なぜ、ストア貢献度を分析する必要があるのか?
何故ID-POS(idpos)分析が必要か?でも説明しましたが、小売業は「人口減少と高齢化による小商圏化」と「情報接点の多様化による固定客獲得競争の激化」という2つの課題に直面しています。それらの課題を解決するべく様々な取り組みを行い、結果としてLTV(ライフタイムバリュー)の高い優良顧客獲得を目指しているわけです。
とはいえ、小売業は目先の売上が獲得できる商品を売りたがります。売れている商品を積極的に売ることは間違いではありませんが、メーカーの営業担当者が「得意先が売るべき商品は何か」を示してあげるのもミッションのひとつだと私は考えます。

ストア貢献度は、メーカーの営業担当者が小売業に対して「どうせ売るなら客単価が高い○○ブランド(ないし商品)を売りましょう」と言うために有効な指標です。
分析をする際のコツや留意点
ストア貢献度という指標はすごく重要ですがあまり知られていないので、どのASPでも分析メニューは存在せず、期間併買(併売)分析と同手順で分析を行います。
例)●年1月~12月にAブランド購入客がストア全体で何円購入したか?
この場合、基準期間は●年1月~12月、基準商品はAブランドとなり、併買対象商品はストア全品となります(カテゴリ貢献度の場合はカテゴリ全品)
Aブランド購入客数:200人 併買対象商品(ストア全品)購入金額:5,000,000円
→5,000,000円÷200人=25,000円…ストア貢献金額
併買対象がストア全品となるので、ASPによっては対象商品を全カテゴリ選択する必要があるなど条件設定が煩わしかったり、データ量が多くて抽出に時間がかかったりと、容易にデータ抽出できない可能性もあります。大変ですが、商談成功のためだと割り切って頑張りましょう。
商談でどう活用すればよいか?
ストア貢献度は、商談でうまく活用すれば小売業の注力を引き出せる指標です。使用する際には、棒グラフで表現すると見やすいです(ストア貢献度だけでなくカテゴリ貢献度もあわせて表現するには積み上げ棒グラフで表現)

自社ブランドと競合ブランドの指標だけを資料に載せるよりも、ストア全体(ストア購入客1人あたりがストア全体で何円購入したか)と、カテゴリ全体(○○カテゴリ購入客1人あたりがストア全体で何円購入したか)を併記すると自社ブランドがどれだけストアに貢献しているかが分かりやすいです。
上記グラフの場合、「Aブランドの購入客を増やした方がストア貢献につながる」と商談でアピールできます。