トライアル・リピート分析

トライアル・リピート分析を活用することで、プロモーション売場の最適展開時期がわかります

ID-POSを商談で活用

消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け

・トライアル・リピート分析とは?
・トライアル・リピート分析をすると何が分かるのか?
・分析をする際のコツや留意点
・商談でどう活用すればよいか?

トライアル・リピート分析とは?

トライアル・リピート分析とは、あるカテゴリ(ないしブランド・商品など)のある期間中における「1回目の購入客数=トライアル客数」と「2回目以上の購入客=リピート客数」の週別推移を分析する手法です。季節需要の高いカテゴリや新商品を分析する際に有効です。

トライアル・リピート分析①

某シーズン品カテゴリ(季節需要が高いカテゴリ)の分析データを抽出しグラフ化すると上記のようになります。グレーの棒グラフが週別の客数計で、その内訳であるトライアル客数(当週に該当カテゴリを購入したお客様のうち第1週から前週までに該当カテゴリを購入していない客数)が青い折れ線グラフリピート客数(当週に該当カテゴリを購入したお客様のうち第1週から前週までに該当カテゴリを購入している客数)がオレンジの折れ線グラフです。このグラフが何を表しているか…の説明は以上です。

トライアル・リピート分析をすると何が分かるのか?

シーズン品カテゴリ(季節需要が高いカテゴリ)の分析
前段落で使用したグラフには4つのポイントが隠されています。下記グラフの〇印をご確認ください。

トライアル・リピート分析②

ポイント①は、トライアル客数が最も多い週=今シーズン1個目の購入客が最も多い週ということです。ということは、どんなに遅くてもこの週までにプロモーション売場が出来ていて、需要を獲得する準備が整っている必要があることを意味しています。
ポイント②は、客数計が最も多い週=最も売り上げが期待できる週ということです。①と②が同週であることも多いです。最も売れる週なので販促を強化する必要があります。
ポイント③は、トライアル客数とリピート客数が逆転をする週です。ここで一旦お店の売場の話をさせてください。
売場にはプロモーション売場と定番売場があり、一般的にはプロモーション売場はトライアル客を獲得するための売場で、定番売場はリピート客に購入してもらう売場(一度購入しているカテゴリなので定番売場の方が商品を比較検討しながら探しやすい)と言われています。
この売場の前提を踏まえると、ポイント③はプロモーション売場を縮小し始めてよいタイミングであることを意味しています。徐々にプロモーション売場のスペースを縮小していく(在庫調整を始める)重要なタイミングです。私が営業担当者であれば、次のシーズン品のプロモーション売場展開を立ち上げを提案します。
ポイント④は、リピート客数が最も多い週です。この週以降は売場は定番売場だけに絞ってもよいです。

新商品の分析
新商品の場合、下記のようなグラフになります。

新商品が発売されるとまずトライアル客数が増加し、宣伝や販促なども行われればトライアル獲得の山場ができます。その後、徐々にリピート客数が増加していき、このグラフでは第17週にトライアル客数とリピート客数が逆転しています。ポイントはこの1か所だけなのですが、リピート客数が多くなるタイミングなので、本体ではなく詰め替えタイプの販促を強化する…購入履歴に基づくレシートクーポン発行…などリピート購入を促す打ち手を行う目安となります。

ちなみに、今回のグラフは説明の便宜上17週でトライアルとリピートが逆転していますが、このような短期間で逆転することはまずあり得ませんし、カテゴリや商品によってはいつまで経っても逆転しないことも珍しくありません。

分析をする際のコツや留意点

シーズン品カテゴリ(季節需要が高いカテゴリ)の分析時には開始日の設定に気をつけましょう。第1週から客数が多いということはそれ以前の週から購入しているお客様が多いということですので、トライアル客数・リピート客数が正しくカウントできません。開始日は早めの日に設定することをおすすめします。

トライアル・リピート分析は、使用するASP(インターネット上のアプリケーション)によっては分析メニューが備わっていますが、そうでないASPの場合は分析が容易ではありません。もし備わっていないようでしたら半年に1度などの大きな商談時にのみ分析を行うだけでも十分です(毎月行うような分析ではありません)

商談でどう活用すればよいか?

最もおすすめの活用方法は、シーズン品カテゴリ(季節需要が高いカテゴリ)の分析です。それも、ご自身が商談したい商品が春夏のシーズン品であれば、あえて秋冬のシーズン品の分析をすることをおすすめします。(日焼け止めを提案したい場合はあえてハンド&ボディクリームの分析をする…ということです)
理由は本ページ第2項「トライアル・リピート分析をすると何が分かるのか?」でも触れていますが再度詳しく説明します。

あなたが提案したい春夏季節品を1日でも早くプロモーション売場に展開したければ、秋冬季節品の売場を撤去されればいいわけです。上記を秋冬季節品のトライアル・リピート分析グラフとすると、③のタイミングでトライアル客数とリピート客数が逆転するので「③を過ぎたら秋冬季節品のプロモーション売場を縮小して春夏季節品の展開を始めましょう」と提案すればいい訳です。その際、「季節品は1個目の購入をしてもらうことが重要である」と言えるリピート率データを併せて提示すれば説得力が増すでしょう。
ちなみに… ハンド&ボディクリームの③タイミングは12月最終週か1月第1週あたりです。1月中に日焼け止めの売り場作りを行うことは決して間違いではないですし、シーズン品は全般的に展開開始日を早めるべきと私は考えます。