リフト値とは?

今回は、リフト値という併買分析などで必要な用語について説明します。

ID-POSを商談で活用

消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け

・リフト値とは?
・リフト値の算出方法は?
・何故リフト値を知っておくべきか?
・どのように数字を読み解けばよいか?

リフト値とは?

併買分析をする際に用いる指標に『リフト値』というものがあります。リフト値とは、ひとことで言うと”その事象の起こりやすさ”を表す指標です。『商品Aを購入したお客様は商品Bをどれくらい併買しやすいか』のように、事象の起こりやすさを数値で示すことで関連性の高さを測定することができます。

リフト値の算出方法は?

リフト値の算出方法は以下の通りです。

例えばこのようなデータがあったとします。
ストアの客数が50人 おにぎりの購入客が20人 お茶の購入客が15人 おにぎりとお茶の両方購入客が9人
この場合、おにぎり購入客に占めるお茶の併買率は、9人÷20人=45% …①
ストアにおけるお茶の購入率は、15人÷50人=30% …②
 となります。

①と②を見比べて分かる通り、ストアでお茶が購入される確率(②参照)よりも、おにぎり購入客がお茶を購入する確率(①参照)の方が確率が1.5倍高いことが分かります。
つまりリフト値は、おにぎりとお茶の併買率(①参照) ÷ ストアにおけるお茶の購入率(②参照) = 1.5 となります。
リフト値1.5は通常よりも1.5倍事象が起こりやすいことを示しており、おにぎりとお茶が関連購買されていることが分かります。
リフト値は関連購買を表す指標であり、2.00を上回ると特に関連性が高い(通常よりも2倍以上事象が起こりやすい)と言えます。逆に1.00を下回ると関連性が低い(通常よりも事象が起こりにくい)と言えます。

この段落のまとめ
リフト値の計算式は、併買率(商品A購入客の商品B併買率) ÷ 購入率(ストアにおける商品B購入率)
・リフト値は関連購買を表す指標。リフト値1.5は通常よりも1.5倍事象が起こりやすいことを示す

何故リフト値を知っておくべきか?


併買率を調べているとストアでよく売れている商品が併買率の上位に出てくることが多々あります(例えば、化粧水の併買商品上位にトイレットペーパーやペットボトルの水などが出てきます)ストアでよく売れている商品は購入しているお客様も多いので、関連購買でなくても併買率上位に出てしまいます(化粧水とトイレットペーパーは関連購買されるアイテム同士ではないのに)。そういった状況でデータを見誤らないように、リフト値を確認して、リフト値が高く併買客数も多い商品が『関連性の高い商品』と見極める必要があります。

どのように数字を読み解けばよいか

併買分析を行う際は、併買客数・併買率だけを見て「併買されやすい/されにくい」と判断するのではなく、必ずリフト値も同時に確認して判断するようにしましょう。これは流入元分析、流出先分析でも同じです。

以前、私のところに中価格帯ブランドAの担当者から相談がありました。内容は、「ブランドAの流出先を調べたところ低価格ブランドBやCなどが流出先上位を占めており、Aブランドの顧客が低価格ブランドに奪われている」というものでした。私の方でデータを抽出してみると以下のようなものでした(数字は参考イメージです)

そもそもブランドAからあまり流出していない(50.3%はブランドAを購入している)のでは・・・ ということはさておき、ブランドAを除く流出先購入率上位は低価格ブランドばかりです。担当者はここを見て憂慮していたようですが、リフト値を見れば関連性が低いことは一目瞭然です。ブランドA購入客がブランドBに流出する確率は、ストアでブランドBが自然と買われる確率の0.24倍しかないのですから。低価格ブランドへの流出は特に気にする必要はないといえますが、あえて危惧するするなら、同価格帯のブランドDへの流出が見受けられるので、ここは対策が必要かもしれません(といっても流出客数は僅かですが)

ちなみに、「リフト値が低いとはいえブランドBやCに流出している客数はそれなりにいるではないか」という意見もありますが、ブランドBやCはストア購入率が高い(購入客数がそもそも多い)ブランドなので数%の購入客の流出入でもそれなりの客数になってしまいます。客数が多いブランドほど有利であることは多くの点で言えますが、それは別の機会に説明します。