ID-POSの売上構造(売上因数分解)の各指標を簡単に分かりやすく読み解き、適切な対策構築に繋げる方法を説明します。

ID-POSを商談で活用
消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け
・ ID-POSの売上構造 とは?
・ 売上構造をどのように読み解けばよいか?
・ 売上構造パターンごとにどのような対策が必要か?
・ まとめ
ID-POSの売上構造 とは?
”ID-POS(idpos)の売上構造を理解する”でも説明をしましたが、ID-POSにおける売上金額は、
客数 × 客単価(お客様1人あたりの購入金額) で表現し、さらに細かな売上構成指標に分解することができます(下図参照)。下記の売上構造図は売上因数分解とも呼ばれており、各指標の値や前年比を確認することで売上の好不調要因を把握することができるID-POS分析の基本的かつ有効な分析手法です。

どの指標が前年を上回っているか/下回っているか を確認することで売上の好不調要因や課題が明確になり、最適な対策構築に繋がります。「売上金額さえ前年を上回っていれば各指標がどうなっていようと問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、売上好調時であっても「この先売上苦戦に転じそうなサイン」を読み取ることで早期の対策構築に繋げられるので、売上好調を少しでも長く維持できる可能性もあります。
売上構造をどのように読み解けばよいか?
上記の売上構造図では『売上金額』から『1回あたり購入数量』まで合計7つの指標を示していますが、そのなかから『売上金額』『客数』『客単価』の3指標に注目して売上前年比を確認します。

まず確認するべきは売上金額は前年を上回っているか? です。次いで客数は前年を上回っているか? 客単価は前年を上回っているか? も確認します。これら3指標それぞれを「前年を上回っていたら〇」「下回っていたら×」とチェックすると、合計6つの売上構造パターンに分類することができます(上図参照)
※購入客あたり購入数量などの指標は客単価の要因を把握する指標なので一旦確認しなくてOKです。
売上構造パターンごとにどのような対策が必要か?
パターン1 客数〇 客単価〇 →売上金額〇
『客数』も『客単価』も両方UPしたおかげで『売上金額』も前年を上回ったパターンです。 この場合、売上は極めて好調なので引き続きこれまでと同様の施策・取り組みを継続することで好調を維持します。営業担当者であれば該当ブランド(ないし商品)を積極的に商談でアピールするべきです。ただし、「先月よりも前年比が下がってきた」といった状況が見受けられたら早期の対策を検討しましょう。
パターン2 客数〇 客単価× →売上金額〇
『客数』がUPしたことで『客単価』のDOWNをカバーし『売上金額』が前年を上回ったパターンです。 客数=ブランド(ないし商品)のファン(支持者)なので、客数が増えていることは非常に良いことです。この場合、客数がUPしている今のうちに客単価をUPさせる併買促進策・リピート促進策などを行い、売上好調期間を長められるよう対策を講じます。
客単価下落要因を考察する際には、『購入客あたり購入数量』『1個単価』『購入頻度』『1回あたり購入数量』が参考になります。
パターン3 客数× 客単価〇 →売上金額〇
『客数』はDOWNするも『客単価』がUPしたおかげで『売上金額』は前年を上回ったパターンです。 客数減少=ファンが離れている状況ですので、 今後売上苦戦に転じる予兆を示しています。大至急『客数』が減少している要因を深堀りし、対策を講じましょう。
『客数』が減少すると『客単価』が上昇する事例はよくあります。客数が減りつつあるブランド(ないし商品)を引き続き購入しているお客様は「よっぽど気に入っているコアなファン」と言えます。ライトなファンが減少してコアなファンが残る状況では客単価(=1人あたりの購入金額)は高くなります。しかしながら、ファンが減少し続ける状況を打開できない限り、コアなファンといえども少しずづ減少していきますので、売上苦戦に転じる(パターン5となる)ことが多いです。
パターン4 客数〇 客単価× →売上金額×
『客数』はUPしたものの『客単価』のDOWNをカバーしきれず『売上金額』は前年を下回ったパターンです。 この場合、売上苦戦状況にあるものの、客数=ファンが増えているという明るい兆しがありますので、客単価UP策次第では売上好転の可能性もあります。客単価がDOWNした要因を特定し必要な対策を構じましょう。もしかすると、過度な値引きが要因の可能性もあります。
パターン5 客数× 客単価〇 →売上金額×
『客数』のDOWNを『客単価』UPでカバーしきれず『売上金額』が前年を下回ったパターンです。 パターン3の説明でも記載しましたが、一部のコアなファンに支えられている厳しい状況です。コアなファンの特徴を分析し類似したお客様を新規獲得できるのであればよいのですが、現状を打開できない場合、さらに状況が悪化してパターン6に転じる可能性もあります。
パターン6 客数× 客単価× →売上金額×
『客数』も『客単価』もDOWNしたおかげで『売上金額』も前年を下回ったパターンです。マーケティング戦略の見直しが必要な厳しい状況です。もし 打開策が見いだせない場合は、別のブランド(ないし商品)に注力することもひとつの手です。
まとめ
以上のように『売上金額』『客数』『客単価』が前年を上回っているか否かをフレームワークのように確認するだけで適切な対策構築に繋げることができます。課題に応じた具体的な施策例は”ID-POSの売上対策(詳細版)”で記載していますので、あわせてご確認ください。