本ページでは、ID-POS分析をするうえで最低限知っておくべき基礎的な用語を説明します。
ID-POSを商談で活用
消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け
売上(買上)明細データの読み方
以下のような売上(買上)データがあったとします。
Aさんは、ある商品を1月30日に1個1,100円で購入し、5月3日に2個2,100円で購入し…といったように期間計で3回・4個・4,250円購入しました。Bさん、Cさんも記載のような購入をしたとすると、以下のことが読み取れます。
売上(買上)金額、数量
売上(買上)金額は、Aさん4,250円 + Bさん2,700円 + Cさん2,050円の合計で9,000円です。
売上(買上)数量は、Aさん4個 + Bさん3個 + Cさん2個の合計で9個です。
客数、延べ客数
売上(買上)客数は、Aさん、Bさん、Cさんの3人です。
延べ客数は、Aさんが3回購入している場合は3人とカウントしますので、Bさん延べ2人、Cさん延べ1人で合計6人です。
客単価(購入客あたり購入金額)
客単価(購入客あたり購入金額)は、購入客1人あたりいくら購入したか? という指標なので、
売上(買上)金額9,000円 ÷ 売上(買上)客数3人で3,000円です。
購入客あたり購入数量
購入客あたり購入数量は、購入客1人あたり何個購入したか? という指標なので、
売上(買上)数量9個 ÷ 売上(買上)客数3人で3個です。
購入客あたり購入頻度
購入客あたり購入頻度は、購入客1人あたり何回購入したか? という指標なので、
延べ客数6人 ÷ 売上(買上)客数3人で2.0回です。
1回あたり購入数量
1回あたり購入数量は、購入客1人1回あたり何個購入したか? という指標なので、
売上(買上)数量9個 ÷ 延べ客数6人で1.5個です。
平均単価(1個あたりの単価)
平均単価(1個あたりの単価)は、商品1個あたりの売上(買上)金額なので、
売上(買上)金額9,000円 ÷ 売上(買上)数量9個で1,000円です。
上記の指標は、売上(買上)明細データを読み取るうえでの基本指標です。
ID-POSの売上構造図(因数分解)の形で示すと以下のようになります。売上(買上)明細データを構造図(因数分解)に置き換えると、好不調の要因がどこにあるかが明確になるため必要な対策が明確になります。詳しくは、こちらのページをご覧ください。
購入率(買上率)
購入率は買上率とも言い、ストア購入客のうち何人が対象商品を購入したかという比率を指します。
購入率(買上率)=対象商品購入客数(上記の場合12人) ÷ ストア購入客数(上記の場合50人) で計算し、上記の場合24%となります。
ちなみに、購入率24%ということは76%のお客様は購入していないということです。メーカーの営業担当者は、まだ購入していないお客様に購入していただくことを意識して営業活動を行いましょう。ストアに居ないお客様に購入いただくよりも、ストアに居るお客様に購入いただくことの方がはるかに難易度は低いですから。
新規客・継続客・リピート客
新規客・継続客
新規客とは、基準期間にA商品を購入したお客様のうち、過去期間にも同商品を購入しているお客様のことを指します。
継続客とは、基準期間にA商品を購入したお客様のうち、過去期間にも同商品を購入していないお客様のことを指します。
ここで言う過去期間とは、リアル店舗のID-POS分析では前6カ月ないし前12か月で分析することが多いです。インターネット通販の分析などではお店が開店してから1回でも購入していたら新規客とは呼びませんが、ドラッグストアなどリアル店分析の場合はデータ量が膨大になることから「前6か月ないし前12か月」で期間設定することが多いです。何年も前に購入していたお客様を継続客と捉えてもあまり意味がないですしね。
リピート客
リピート客とは、分析対象期間内に2回以上購入したお客様を指します。過去期間の購入有無は問いません。「継続客」と定義が混同する人が多いのですが、上記の図の通り明確に異なります。
リピート率は、新規客のうち、どれくらいのお客様がリピート購入しているかを示す指標です。
リピーター率は、分析対象期間にA商品を購入したお客様のうち、同商品を2回以上購入客の人数割合のことを指します。
新規客・継続客・リピート客について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
流入元・流出先
流入元とは、基準期間にA商品を購入したお客様が、前期間(前6か月/前12か月など)に同カテゴリ内でどんな商品を購入していたか?という指標です。
基準期間のA商品購入客数:100人 左記うち前期間のB商品購入客数:20人
とすると、A商品購入客の20%はB商品からの流入客と言えます。
流入元購入率 = 基準期間のA商品購入客のうち前期間にB商品を購入した客数(20人) ÷ 基準期間のA商品購入客数(100人)
流出先は、基準期間にA商品を購入したお客様が、後期間(後6か月/後12か月など)に同カテゴリ内でどんな商品を購入していたか?という指標です。
カテゴリ新規客や継続客を獲得できたか、過去購入商品よりトレードアップ(単価アップ)できたか、競合ブランドからお客様を奪取できたか、などを把握することができます。流入元・流出先ともに、基準商品と同一カテゴリ内で分析することが基本です(A商品がシャンプーであればシャンプーカテゴリ内の流入元や流出先を確認する…ということ)。その他、詳しくはこちらのページをご覧ください。
併買
期間併買分析とは、対象期間にA商品を購入したお客様が同期間内に購入したA以外の商品のことを指します。上記イラストではB商品、C商品、D商品、E商品の全てが併買商品となります。
バスケット併買(同時併買)分析とは、A商品を購入したお客様が同一レジ会計(同一レシート)で購入したA以外の商品のことを指します。上記イラストではB商品のみが併買商品となります。期間併買・バスケット併買ともに、メーカーや小売業が併用してもらいたい商品の併買状況を確認したり(風邪薬と栄養ドリンク…化粧水と乳液…など)、関連購買商品を見つけ出すことができますので、プロモーション売場展開など活かされることがあります。
ちなみに「併買」を「併売」と書く人がいますが正しくは「併買」です。お客様の意思で「買う」のであって、お店が「売りつける」わけではありませんので。
また、併買分析を行う際にはリフト値という指標を理解しておく必要がありますが、それについてはこちらのページで解説していますのでご覧ください。
ストア貢献度(ストア貢献金額)
ストア貢献金額とは、対象期間にA商品を購入したお客様が同期間にストア全体で何円購入したか?という指標です。
同様に、対象期間にA商品を購入したお客様が同期間にカテゴリ全体で何円購入したか?をカテゴリ貢献金額と言います。
A商品購入客はストア(ないしカテゴリ)の優良顧客が多いのかを把握することができます。小売業はLTV(ライフタイムバリュー)の高い優良顧客獲得を目指していますので、優良顧客が購入している商品を積極的に売りたいと考えます。そういった点で商談でも活用できる重要な指標です。詳しくはこちらのページをご覧ください。