デシル分析から顧客構造を把握することで購入客の優良顧客化と新規客獲得のヒントが得られます。
ID-POSを商談で活用
消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け
・デシル分析とは?
・なぜ、デシル分析をする必要があるのか?
・分析をする際のコツや留意点
・商談でどう活用すればよいか?
デシル分析とは?
デシル分析とは、お客様を購入金額などの高い順に10グループに分けて分析する手法です。例えば、ストア購入客が200人いたとして、購入金額1位~20位のお客様はデシル①グループ、21位~40位のお客様はデシル②グループ…181位~200位はデシル⑩グループ…といった形で20人ずつ10グループに分けます。そのうえで、デシル①のお客様は全売上の何%を占めているか…といった分析から顧客構造を把握し上位顧客の継続購入を促します。
2:8の法則という言葉がありますが「2割のお客様が8割の売上を支えている」という売上構造は、まさにデシル分析から分かることです。
なぜ、デシル分析をする必要があるのか?
デシル分析を行う理由は2つあり、上位顧客(優良顧客)の継続維持と下位顧客(トライアル客)の獲得・育成です。何故ID-POS(idpos)分析が必要か?でも説明しましたが、日本の小売業は少子高齢化に伴う小商圏化と、情報接点/購買接点多様化による固定客獲得競争の激化という2つの課題により1人でも多くの優良顧客獲得を目指しています。上位顧客には継続購入してもらえるよう現状をトラッキングし維持拡大に繋がる施策を実施し、下位顧客には「何円購入額を拡大してもらうか」を考え施策構築する必要があります。
また、デシル分析をさらに深堀りして、上位顧客が購入しているカテゴリ(ないし商品)と下位顧客が購入しているカテゴリ(ないし商品)を比較して「上位顧客育成に繋がるカテゴリ(ないし商品)」を見つけることも可能です。
分析をする際のコツや留意点
デシル=10分割 して分析するとグループが多過ぎて扱いづらいということであれば、5分割(5グループ)などで分析するのもアリです。上位と下位の特徴を示すだけ…、グループごとに販促策を分ける…だけならグループが少ない方が分かりやすいことがあります。
デシル分析は購入金額など1つの軸でお客様を上位~下位に分類する手法ですので、シンプルで扱いやすいデータではありますが、RFM分析のように3つの軸でお客様を分類したほうが施策効果が高い場合もあり得ますので、適宜使い分けが必要です。
商談でどう活用すればよいか?
カテゴリや自社商品の顧客構造を示して販促を提案することも活用のひとつですが、私がおススメするのは上位顧客が購入しているカテゴリ(ないし商品)と下位顧客が購入しているカテゴリ(ないし商品)を比較して「上位顧客育成に繋がるカテゴリ(ないし商品)」を見つけることです。
上記は、あるカテゴリの購入金額順に顧客を10グループに分割し、各デシルのサブカテゴリ別購入率を示したデータです(デシル①200人のうちサブカテA購入客は110人=55%ということ)
このデータから、サブカテAは上位顧客ほど購入率が高いので「サブカテAは優良顧客につながるアイテム」と言えます。また、サブカテBは下位顧客ほど購入率が高いので「サブカテBはトライアル獲得に有効なアイテム」と言えます。
これらのデータから「新規客獲得にサブカテBを訴求し、既存客にサブカテAを紹介し優良顧客化につなげる」というストーリーが描けます。上記のようなサブカテゴリではなく、ブランドラインや品種で示してもいいでしょう。化粧品のようなカテゴリでは、サブカテゴリやブランドラインなどの役割を明確にする意味でも有効な活用方法です。