併買分析(併売分析)とは?を理解し、購入客の特徴を踏まえた併買促進策を考えましょう

ID-POSを商談で活用
消費財・食品・飲料メーカーの営業担当者向け
・併買分析(併売分析)とは?
・なぜ、併買分析をする必要があるのか?
・分析をする際のコツや留意点
・リフト値とは?
・商談でどう活用すればよいか?
併買分析(併売分析)とは?

まず初めに、「へいばい」を漢字変換すると併売と表示されますが、正しくは併買です。お客様がご自身の意思で何かと何かを併せて買うわけですので、併買と書くべきです。
併買分析とは、ある商品を購入したお客様が併せて何の商品を購入しているか?を分析することです。
併買のなかでも、お客様が1回のレジ会計で一緒に購入されることをバスケット併買と言い、お客様が一定期間内に購入されることを期間併買と言います。
Aさんがジャガイモ、玉ねぎ、カレールウを1回のレジ会計で購入…バスケット併買
Bさんがファンデーションと化粧下地を同じ月に購入…期間併買
なぜ、併買分析をする必要があるのか?

ある商品を購入したお客様は併せて何の商品を購入しているか?を分析すると、ファンデーションを購入するお客様は化粧下地を併買しやすい… といったことが分かります。
であれば…
ファンデーションと化粧下地を一緒に売場展開しよう…
ファンデーションを購入しているのに化粧下地を購入していないお客様にレシートクーポンを発券しよう… などといった併買促進策を考えられます。
何故ID-POS(idpos)分析が必要か?の回でも説明しましたが、小売業は1人のお客様にたくさんの商品を購入してもらいたいと考えています。併買分析により購買特徴を把握することは、優良顧客育成に欠かせません。
分析をする際のコツや留意点
併買分析をする際に最も気を付けるべきことは、分析の範囲をどのカテゴリにするか?です。
Aブランドの●●化粧水の併買分析をする際
①化粧水カテゴリ内で併買分析をするのか
②Aブランド全品(化粧水だけでなく美容液なども含む)のなかで併買分析をするのか
③化粧品カテゴリ全体のなかで併買分析をするのか
④ストア全体のなかで併買分析をするのか
によって結果は異なります。
①の場合、●●化粧水購入客の多くは競合の××化粧水も併買している…となり、もしかしたらお客様はシーンによって使い分けているのかな?のように考察できます。
②の場合、●●化粧水購入客の多くは一緒に○○乳液を併買している…となります。化粧品カテゴリなどでは同一ブランド内で併買をしてもらいたい商品がありますので(例えば、化粧水と乳液や、ファンデーションと化粧下地など)、メーカーの意図通りに併買がされているか確認することができます。
③の場合、●●化粧水購入客の多くは高単価の■■美白美容液を併買している…となり、●●化粧水購入客で■■美容液未購入のお客様にはサンプリングをしようなどを考えることができます。
④の場合、●●化粧水購入客の多くはベビー用品を併買している…となり、購入客の属性・嗜好を読み解いたり、他カテゴリとのクロスマーケティングに役立ったりできます。
リフト値とは?
併買分析をする際に用いる指標にリフト値というものがあります。知っておくべき指標なので簡単に説明します。
例)あるストアの客数は合計10人、うち4人はおにぎりを購入、3人はお茶を購入。
且つ、おにぎり購入客4人のうち2人はお茶を併買… とします。
→おにぎりの購入率は40%(4÷10)、お茶の購入率は30%(3÷10)となります。そして、おにぎり購入客のお茶併買率は50%(2÷4)となります。
するとここで次のようなことが言えます。「お店で普通にお茶を買ってもらえる確率よりも、おにぎり購入客の方がお茶を買ってもらえる確率の方が高い…」
ストアにおけるお茶の購入率30%、おにぎり購入客のお茶併買率は50%ですので、おにぎり購入客は、通常よりも1.67倍(50%÷30%)お茶を併買すると言えます。この1.67をリフト値と言います(併買率÷ストア購入率) リフト値は関連購買を表す指標であり、2.00を上回ると関連性が高いと言えます。また、1.00を下回ると関連性が低いと言えます。
何故リフト値を知っておくべきか
併買率を調べているとストアで良く売れている商品が併買率の上位に出てくることが多々あります(例えば、化粧水の併買商品上位にトイレットペーパーやペットボトルの水などが出てきます)ストアで良く売れている商品は購入しているお客様も多いので、関連購買でなくても併買率上位に出てしまいます。そういった状況でデータを見誤らないように、リフト値を確認して、リフト値が高いなかで併買客数が多い商品が関連性の高い商品と見極める必要があります。なお、リフト値はカテゴリをまたがって分析する際には確認が必須であり、同一カテゴリ内の併買分析であれば特に注視しなくても大丈夫です。
商談でどう活用すればよいか?
分析目的によって最適な表示方法は異なりますが、下記2点を参考にしてください。

左の併買商品ランキングは、併買客数が多い順に降順に並べたリストです。どの商品が最も併買されているかを確認する際に分かりやすい数表です。
前項目でリフト値の説明をしましたが、カテゴリをまたがって併買分析をする際には必ずリフト値も記載し、リフト値の降順に表示しましょう。
右の併買マトリックス図は、化粧品などでブランド内のアイテム間の併買状況を確認しやすい数表で私はよく分析に用います。(スポーツで目にする星取表のようなものです)
表は横に見て、化粧水の購入客数は100人でうち35%(つまり35人)は乳液を併買している…と読み取ります。この際、必ず客数が多いアイテムを主語に読み解きます。美容液購入客のうち90%は化粧水を併買している…と言っても美容液購入客はたった10人なので90%=9人です(化粧水購入客の美容液併買率は9%だが客数は同じく9人) 併買促進策を考える際には客数が多いアイテム(この場合は化粧水)購入客に併買を促すのが普通ですよね。
上記2つ以外にも、時系列で併買率の推移を示すには折れ線グラフを用いても良いかと思います(化粧水と乳液の併買率を年次推移で表示…など)